課題曲はコンクールがくれた「宝」

2月17日に東京オペラシティ コンサートホール:タケミツメモリアルにて開催された東京佼成ウインドオーケストラ 「課題曲コンサート2020」にご招待いただきました。

オザワ部長のみならず、毎年多くの方が楽しみにしているこのコンサート。

会場には多くの吹奏楽関係者が詰めかけ、お互いの近況報告をしたり、「今年はどの課題曲がいい?」といった会話に花を咲かせたりするのが恒例ですが、今回はやはりコロナ禍で若干控えめな交流となっていました。

さて、演奏はまず戦後最初に吹奏楽コンクールが再開されたときの課題曲《行進曲「トム・タフ」》(エドウィン・ビンディング)からスタート。

当時は全国の5つの地域から5つの代表団体が集まってコンクールが行われたそうで、中学校の部に関しては録音審査だったと正指揮者・大井剛史さんが話していらっしゃいました。

この大井さんの吹奏楽愛とユーモアにあふれたトークも課題曲コンサートの楽しみのひとつ。

今年の5つの課題曲についても、ためになる楽曲の解説だけでなく、楽しいトリビアなどを交えて話されており、演奏もより楽しむことができました。

東京佼成ウインドオーケストラの演奏にはプロの余裕と貫禄がありました。力みがなく、ごく自然に各楽器の澄んだ音が響いてくるのが快感でした。

後半は『〜課題曲Vの時代(2003〜2022)〜』と題して、《マーチ「列車で行こう」》(川村昌樹/2003)や《きみは林檎の樹を植える》(谷地村博人/2014)といった過去の課題曲Vの特集。

難解な印象のある課題曲Vですが、改めてプロの演奏を聴くと「こんな良い曲だったんだ!」という再発見がありました。

しかし、課題曲Vは今年度を最後に廃止となることが決まっています。全日本吹奏楽連盟での検討の末に決まったことではありますが、こうなってみると少し寂しい気がしますね。

2023年度からは、2002年度までのような4曲体制(すべての曲が全部門共通)となるのでしょう。

課題曲コンサート2020のアンコールは故・丸谷明夫先生に捧げる《高度な技術への指標》(河辺公一/1974)でした。

佐渡裕指揮のシエナ・ウインド・オーケストラの演奏はラジオ「ブラボーブラス」でも何度もかけましたが、それとは一味違う「大人っぽい熱」を感じる演奏でした。それまでの課題曲Vとは違い、車の窓を全開にしてギアを踏み込むような、奏者の皆さんの喜びまで伝わってきました。

やはり曲や年代は違っても、「課題曲」というものは特別な思い入れを持って聞いてしまいますね。吹奏楽コンクールというものがもたらしてくれる「宝」のひとつかもしれません。

まだ少し気が早いですが、今年の吹奏楽コンクールが無事に開催されますように。

浜松聖星高校吹奏楽部と浜松日体高校吹奏楽部を卒業した浜松コンビ!



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