本番の喜び、拍手の幸せ

7月18日海の日にフェニーチェ堺で開催された大阪・精華高校吹奏楽部「SEIKAサマーフェスティバル2022」でナビゲーター(司会)を務めさせていただきました。

精華高校の夏のイベントの司会は、2019年から4年連続となりました。

当初、精華高校は福岡の有名バンド、精華女子高校と混同されることもありましたが、いまでは知名度も向上し、大阪の有力バンドのひとつとなっています。

精華高校吹奏楽部、関西大学応援団吹奏楽部ほか、今回の出演者が集合して開演前の記念撮影。

今年はコロナ禍の影響で練習時間がかなり制限され、コンサートの準備もかなり大変だったようです。

オザワ部長は打ち合わせのため、本番前日に学校での練習に参加しました。

そのときは「明日、大丈夫かな……」と少し不安を感じる部分もあったのですが、本番では数段レベルアップしたパフォーマンスができていたことに感動しました。

さすが高校生。可能性は無限大です。

今年の吹奏楽コンクール課題曲《マーチ「ブルー・スプリング」》《ジェネシス》や、ピーター・グレイアム《メトロポリス1927》、西村朗《秘儀IV〈行進〉》など、集中力の高い演奏になっていました。

また、ポップスステージでは関西大学応援団吹奏楽部と合同演奏。大学生と一緒に演奏することで、大きな刺激をもらったことでしょう。

アンコールの《TAKARAJIMA》の演奏シーン

《シーガル》では秋からパリ国立高等音楽院に留学するサクソフォン奏者の平井亘さん《青春の輝き》ではオオサカ・シオン・ウインド・オーケストラのサクソフォン奏者で関西大学応援団吹奏楽部の音楽監督でもある福田亨さんとの共演もありました。

同じステージでプロの音を感じ、ともに同じ曲を演奏できるのは得難い経験ですね。

平井亘さん。世界で活躍するサックスプレイヤーになっていただきたい!

地元・大阪の泉南市立泉南中学校吹奏楽部堺市立浅香山中学校吹奏楽部の演奏もありました。

吹奏楽コンクールを前にして、フェニーチェ堺という素晴らしいホールでの本番は中学生にとっては貴重だったに違いありません。

会場には多くのお客様がご来場くださり、演奏やダンス、MCなどに大きな拍手を贈ってくださいました。

長引くコロナ禍、無観客や大幅な入場制限での本番が続きましたが、拍手をもらうことの喜びを精華高校吹奏楽部の皆さんは心から幸せに感じていたことでしょう。

もちろん、ナビゲーターのオザワ部長も、観客の反応によって気持ちが高まり、スムーズにトークや進行ができました。

コンサートは出演者だけでなく、観客とも一緒に作るもの……。

それを改めて実感できた1日となりました。

終演後、精華高校吹奏楽部の皆さんと(1)
精華高校吹奏楽部の皆さんと(2)
精華高校吹奏楽部の皆さんと(3)。コンサート終演後のピースフルな雰囲気は良いものですよね。
「1年生のときにも一緒に撮ってもらいました」とスマホのカメラロールから2年前の懐かしい写真を見せてくれた精華高校の部員さん。ラストJK、ぜひ充実したものにしていただきたいです。
関西大学応援団吹奏楽部の皆さんと。大学生らしい演奏や言動が印象的でした。中には「第2の吹奏楽作家」志望の方も!? またご一緒したいなぁ。
精華高校の皆さん、ゲストの平井亘さん、SDGs起業家・平原依文さんとデザイン・コンサルタントの横川真依子さん。

SDGs起業家・平原依文さんとのコラボレーション

今回の「SEIKAサマーフェスティバル2022」で異色だったのは、SDGs起業家である平原依文さんをゲストに招き、講演やパネルディスカッション「SDGs吹奏楽部ミーティング」が行われたことです。

平原さんは「社会の境界線を溶かすこと」をご自身の使命としており、テレビ番組『サンデーモーニング』など各種メディアでも活躍されています。

SDGsとは「持続可能な開発目標」のことで、メディアで取り上げられる機会も多くありますが、吹奏楽とはどんな関連があるのかわかりにくいところがありました。そもそも関連があるのか、と思われた方もいらっしゃったことでしょう。

今回、平原さんの講演やパネルディスカッションを通じて、音楽や吹奏楽(部活動そのものも含めて)がSDGsの理念につながるものであること、吹奏楽を通じて貢献することが可能だということがよくわかりました。

特に、目標の16番目にある「平和と公正をすべての人に」。人間は音楽によって言語の違いや国境を越え、心を通わせることができるかもしれない。そして、それが平和や公正の原動力になっていく可能性を秘めている……。

平原さんが伝えてくださったそんなイメージを、会場にいるみんなが共有できたのではないかと思います。

平原依文さんと私。学部は違いますが、同じ早稲田大学の出身です。

個々の「吹奏楽部」は、学校生活の一部で、ごく小さな存在ではありますが、それが国や世界規模の「平和、公正」という大きなものに接続され、貢献できるというのは素晴らしいことですよね。

これまで取材してきた中で、「吹奏楽部の活動の最終的な目標は世界平和です」と語っていた先生方がいました。

ジョン・レノンの《イマジン》(今回の曲目にも入っていました)の歌詞にもあるように、以前ならそれは「夢想家」の言葉だと思われていたかもしれません。しかし、SDGsによって「吹奏楽部の活動=世界平和」も現実的に目指すべき目標になったと言えるかもしれません。

左から、平原さん、オザワ部長、ゲストの福田亨さん、関西大学応援団吹奏楽部の井添大助監督と江村政直ヘッドコーチ。

さて、今回のイベントを通じて平原さんと舞台裏などでいろいろお話しさせていただきましたが、本当に素敵な方でした。

小学生のころから中国など4カ国に留学。青年版ダボス会議に日本代表として出席し、現在はSDGs起業家として活躍……。

華々しい経歴を持っていらっしゃいますが、根本的にとても感受性が豊かな方で、コミュニケーション能力が高く、知的で、開かれた心の持ち主。メディアや講演などで大人気なのも頷けました(偉そうな言い方で恐縮ですが……)。

吹奏楽の経験はないという平原さんでしたが、リハーサルで精華高校吹奏楽部の演奏を生で聴きながら涙を流す姿、また、パネルディスカッションの準備で学生さんの発言に耳を傾けているときの真摯な姿勢からは、吹奏楽というものを理解し、受け入れ、その根っこにあるものとSDGsとの共通点を見出そうという意識が強く感じられました。

オザワ部長のポリシーのひとつに「常に学ぶ、すべてから学ぶ」というものがあるのですが、まさに平原さんはそれをナチュラルに実践している方で、「サマーフェスティバル2022」に関わった生徒・大学生・指導者・会場スタッフなどに自ら積極的に語りかけ、学ぼうとしていらっしゃいました。

舞台裏で出番前の台本のチェックに没頭している私。撮られていることにまったく気づきませんでした……。
さらに、ギリギリの時間までチェックと修正……(汗)。平原さんも少し緊張気味の様子。

今回、平原さんに出演していただいたことで、きっと精華高校や関西大学の皆さんはもちろん、観客の方たちの心にもSDGsの種が蒔かれたことでしょう。

吹奏楽や音楽という養分を吸収しながら種が芽吹き、育ち、やがて「平和、公正」という花を開かせることを願っています。

終演後、楽屋で関西大学応援団吹奏楽部の皆さんと。
そして、平原さん、横川さんと。平原さんがオザワ部長ポーズを気に入ってくださったので、今回は連発してしまいました。

というわけで、今回の「SEIKAサマーフェスティバル2022」は、おそらく前例のない吹奏楽イベントになったのではないかと思います。

オザワ部長自身もたくさんのことを学び、考えさせられ、今後さらに前進していくためのパワーやきっかけをいただきました。

ご来場いただいた皆さん、YouTubeライブでご覧いただいた皆さん、どうもありがとうございました。




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