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プッチーニ《トゥーランドット》で勝負!
大阪府の明浄学院高等学校吹奏楽部といえば、「Queenstar(クイーンスター)」のチーム名を持ち、座奏とマーチングの両方で活躍している名門ガールズバンドです。
全日本吹奏楽コンクールにも17回出場。昨年も出場し、銀賞を受賞していました。
しかし、今年の関西吹奏楽コンクールでは金賞を受賞するも、惜しくも関西代表の座は逃してしまいました。
2005年以来17年ぶりの悔しい出来事でした(途中2回の三出休みを除き、2006年から連続出場が続いていた)。
そこで、筆者・オザワ部長は9月下旬に明浄学院を訪れ、部長の萬谷葵さん(3年・トロンボーン)、副部長の田中雅さん(3年・チューバ)のお二人にお話をお聞きしました。
まず、明浄学院に入ったきっかけからお聞きしたのですが、部長の萬谷さんですが、なんとお隣の和歌山県から通学しているのだそうです。
「レベルの高い大阪の吹奏楽部で頑張りたいと思い、いろいろな高校の情報をチェックしたのですが、明浄学院の女子校ならではのサウンドに感動して入学を決めました。通学は車と電車で1時間半くらいかかるので、朝は6時ごろに家を出ています」
一方、副部長の田中さんも明浄学院のサウンドに憧れて進路を決めました。
「中学時代、関西吹奏楽コンクール・高校の部で初めて明浄学院の名前を知ったのですが、そのときの演奏が素晴らしくて、私も明浄で吹奏楽をやりたいと思うようになりました」
実は、萬谷さんと田中さんは、お二人とも明浄学院に入る際に「全日本吹奏楽コンクール出場」という目標を持っていました。
しかし、1年生のときはコロナ禍でコンクールが中止。2年、3年では残念ながらコンクールメンバーに入れずに涙をのみました。
しかも、明浄学院は全日本吹奏楽コンクール出場を逃し、「メンバーはしばらく学校生活でもしんどそうな様子でした」(萬谷)とのこと。萬谷さんと田中さんも複雑な思いだったことでしょう。
「現在は気持ちを切り替えて、部員全員でマーチングバンド全国大会を目指して練習を続けています」(田中)
目指せ!マーチングバンド全国大会、金賞!
明浄学院が出場する日本マーチングバンド協会の大会は、10月に行われる大阪府大会(審査なし)、関西大会、そして、12月にさいたまスーパーアリーナで開催されるマーチングバンド全国大会へと続いていきます。
今年の明浄学院のショーは、ジャコモ・プッチーニのオペラである《トゥーランドット》に乗せてのマーチングとなります。
「現時点では、まだ演奏も動きも完成しておらず、少し焦っています……」(萬谷)
これまで明浄学院は大編成部門に出場しており、マーチングバンド全国大会で優秀な成績を残してきました。昨年は見事金賞に輝いています。
今年は部員数が85名。大編成部門(91人以上)から、新たに中編成部門(55〜90人)にステージを移してチャレンジすることになりました。
大編成は湘南台高校、埼玉栄中学・高校、関東学院などのスーパーバンドがしのぎを削る最高峰の舞台。一方、中編成も今年オランダで開催された世界音楽コンクールのチャンピオンシップで優勝した沖縄県立西原高校をはじめ、茨城県立大洗高校、岐阜県立岐阜商業高校、福岡大学附属大濠高校など、個性的な名門バンドが多数集う激戦区です。
今年の出場校が決まるのはまだこれからですが、決して「大編成より中編成のほうが好成績が取りやすい」などということはありません。
「正直、初めての中編成には少し怖さがありますが、コンクールのように悔しい結果にはならないように全員で頑張りたいです。そして、明浄らしい素敵なショーをお見せできたらと思っています」(萬谷)
「今年のコンクールには出られなかったこともあり、リベンジとしてマーチングバンド全国大会で金賞をいただきたいです」(田中)
コロナ禍で入学前から思いどおりにいかない日々を過ごしてきた萬谷さんたち3年生。今年もまた多くの困難に直面してきたことでしょう。ましてや、萬谷さんと田中さんは特別に悔しい思いをしたことでしょう。
だからこそ、日本マーチングバンド協会の大会ではぜひ全力を出し切って、高校での部活動の集大成となるショーをつくり上げていただきたいと思います。
きっとそれは、一生輝きが失せることのない宝物となることでしょう。
Go Queenstar!!