2019年、日本でのツアーも控えているフランスの音楽界で話題のトランペット奏者、ルシエンヌ(ルシエンヌ・ルノダン=ヴァリ)さん

現在19歳ですが、11歳から様々なコンクールに出場して優勝を果たし、モーリス・アンドレ賞も受賞。国内外のコンサートにも多数出演。18歳の時点でアルバム《ザ・ヴォイス・オブ・ザ・トランペット》までリリースしているという注目の天才プレイヤーです。

パリ国立高等音楽院ではクラシックとジャズを学び、両ジャンルでさらに技術に磨きをかけました。

また、トランペットの腕前だけでなく、「妖精」とたとえたくなる愛くるしいルックスの持ち主でもあります。

そんなルシエンヌさんが初来日した折、オザワ部長が吹奏楽界を代表して直撃インタビューを試みました。

果たして、気になる「仏トランペット界の妖精」の素顔は!?

−−初めて日本にいらっしゃったということですが、日本の印象はいかがですか?

「まだあちこち歩き回ってはいないのですが、ホテルの窓から見る景色はとてもきれいだと思いました。また、日本の方はみんな温かく、親切です。ツアーの際にはいろいろな日本の風景を見られると思いますので、とても楽しみにしています」


−−ルシエンヌさんのトランペットとの出会いはいつでしたか?

「9歳のときです。少しピアノは習っていたのですが、学校のソルフェージュの授業に先生がトランペットを持ってきて、初めてそういう楽器があるということを知りました。音を聴いた瞬間、その美しさに魅了されました」


−−トランペットはどこで習ったのですか?

「ル・マンのコンセルヴァトワール(音楽院)に通い、トランペットのフィリップ・ラフィット先生にレッスンを受けました。私にとって、ラフィット先生は最高の指導者で、今の私があるのは何もかも先生のおかげです。その音楽院では室内楽も学びましたし、吹奏楽も経験しました」


−−プロのトランペット奏者になりたいと思ったのはいつごろからですか?

「習い始めたときからです(笑)。『私がずっと続けていきたいのはトランペットだ!』とすぐに思いました」


−−1stアルバムのタイトルは《ザ・ヴォイス・オブ・ザ・トランペット》ですが、演奏するさいに「声」「歌」という感覚は持っていらっしゃいますか?

「トランペットの音が私の声です。私の表現がトランペットなんです。私は楽器を手に取るとき、タンギングなど細かいことにこだわるよりも、自然に、本能的に、感じるままに奏でています。私はトランペットによって歌を歌っているとも言えますので、このアルバムに収録した曲は《『サウンド・オブ・ミュージック』より「私のお気に入り」》や《歌劇『エフゲニー・オネーギン』より「どこに どこに どこに行ってしまった」》など、元が歌の曲を中心にチョイスしました」


−−今年7月には待望のツアーが行われますね。共演は日本を代表するピアニストの辻井伸行、創立30周年にして現在も評価が高まり続けているオーケストラ・アンサンブル金沢、指揮は初来日となる新進気鋭のパトリック・ハーン。このツアーでは岐阜県高山市を皮切りに、金沢・東京・軽井沢・秋田・仙台・盛岡・青森での公演が予定されています。ルシエンヌさんはこのツアーにどんな思いを持っていらっしゃいますか?

「今からワクワクしています! 同じメンバーで長期間のツアーを行うと、音楽への共感が深まると思います。また、公演する土地によって雰囲気が変わり、それが音楽にも何らかの影響を与えると思います。このツアーには2パターンのプログラムがありますが、ショスタコーヴィチの《ピアノ協奏曲第1番 ハ短調 作品35》やハイドンの《トランペット協奏曲変ホ長調Hob.VIIe:1》といった曲を演奏しますので、ぜひたくさんの方に聴きにきていただきたいです」


−−トランペットを演奏する上で大切にされていることは何でしょう?

「まずは音楽を喜びとして受け止めることです。トランペットは演奏するのが大変な楽器であることは事実ですし、努力しないと上達は難しいです。だからこそ、やりがいがあり、うまく吹けるようになったときに達成感が得られます。私の場合、本当にとり憑かれたように練習していました。3時間くらいがトランペットの練習の限界ではないかと思いますが、それ以上に練習しようとして、ママにマウスピースを隠されてしまったことがあります(笑)」


−−日本では、中高生を中心に多くの人が吹奏楽を楽しんでいます。トランペットを演奏している人たちにアドバイスをいただけますか?

「トランペットを好きになること、演奏を楽しむことです。吹奏楽で演奏する場合は、チームで取り組む楽しさも感じられるといいですね。それから、ぜひいろいろな音楽を聴くこともプラスになると思いますよ」

19歳らしい少しはにかんだ笑みを浮かべながら、真摯に、そしてときに情熱的にインタビューに応じてくれたルシエンヌさん。ツアーでは、フランスを席巻したトランペットの音色がついにベールを脱ぎます。

ツアーのスタートが今から待ち遠しいですね!

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Profile ルシエンヌ(ルシエンヌ・ルノダン=ヴァリ)

1999年生まれ。2007年よりフィリップ・ラフィットに師事し、2014年にパリ国立高等音楽学校のクラシック・ジャズ両方のトランペット科に入学。パリ・クレドール・コンクールなど、11歳から17歳の間に様々なコンクールで優勝。モーリス・アンドレ賞なども受賞している。2017年、アルバム《ザ・ヴォイス・オブ・トランペット》をリリース。

●ツアーの詳細は下記サイトにて