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自由曲は《富士山〜北斎の版画に触発されて〜》
今年の夏は縁あって愛媛県松山市で開催された「俳句甲子園」を取材しました。
しかし、吹奏楽作家たるもの、四国まで行って吹奏楽部を取材しないわけにはいかない……ということで、愛媛県伊予郡松前町にある愛媛県立伊予高校吹奏楽部を訪問しました。
伊予高校といえば、全日本吹奏楽コンクールに26回出場し、「四国の横綱」とも呼ばれているバンド。
オザワ部長もこれまでに書籍『吹部ノート②』で伊予高校のドラマを取り上げたことがあります。
さて、現在の伊予高校はOBでもある池田努先生が顧問。
せっかくなので、今年度の吹奏楽コンクール課題曲《ジェネシス》(鈴木英史)と自由曲《富士山〜北斎の版画に触発されて〜》(真島俊夫)を聴かせていただきました。
《ジェネシス》は、最初の出だしから「このバンドのクオリティは高い」と確信できるサウンドの美しさがありました。
《富士山〜北斎の版画に触発されて〜》も各パートの技術の高さ、集中力が感じられ、終盤は聴いていて鳥肌が立ってくるほどでした。
ちなみに、池田先生は自由曲のテーマとなっている北斎の「富嶽三十六景」がプリントされたTシャツを着用されていました。
公立高校ということもあり、コロナ禍や教員の働き方改革の影響で練習時間はかなり限られたものになっていたようですが、ミカンがすくすく育つ明るい愛媛の風土そのままにポジティブな雰囲気が感じられる部活でした。
部長と副部長にインタビュー
ということで、今年度の部長である入舩美咲さん(3年・トロンボーン)と山先音羽さん(3年・クラリネット)にお話をお聞きしました。
◇部長の入舩さん、部活のスローガンはありますか?
入舩「前から受け継いでいるスローガンは『雲外蒼天』で、今年度は『目に輝きを、音楽に感動を。伊予吹、全国金賞』を目標にしています」
◇もう四国大会まで1週間となっていますが、現時点(8月22日)の状態はどうですか?
入舩「コロナの影響でなかなか練習ができず、もうちょっと頑張らなければいけないところがあります。でも、みんなで力を合わせ、この1週間でさらに良い音楽をつくっていきたいと思っています」
◇どんなところが課題でしょうか?
入舩「みんな少し引っ込み思案なのが課題です。積極性が少し足りないので、みんながどんどん部活に関わってくれるようにしていければと思っています」
◇山先さん、今年の自由曲はいかがですか?
山先「私は個人的に《富士山〜北斎の版画に触発されて〜》が大好きなので、吹いていても感動します。自分が感じる感動をお客さんにも届けられたらと思っています」
◇四国大会はどんな演奏をしたいですか?
山先「みんなで落ち着いて演奏したいと思っています。それぞれにプレッシャーも感じると思いますけど、自信に溢れているような演奏がしたいです」
入舩「私たちは高校に入る前からコロナ禍でした。いまいる3学年とも本番を経験する機会が少なかったんですけど、県大会のときには比較的落ち着いて臨むことができたと思います」
山先「四国大会は久しぶりに有観客で行われるということで、そこは少し心配ですけど、みんななら大丈夫だと信じています」
◇それでは最後に、四国大会に向けて意気込みを聞かせてください。
山先「多くの方に感動を与え……」
入舩「絶対に全国行くぞ!」
入舩・山先「オー!」
明るい笑みを浮かべながらインタビューに応じてくれた入舩さんと山先さん。
ぜひ伊予高校の仲間たちとともに、ホールに感動の《富士山》を描き出していただきたいです。