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テレビでは放送されなかった心震わせるステージ
大阪桐蔭高校吹奏楽部といえば、オザワ部長著『最強!大阪桐蔭高校吹奏楽部 梅田先生と部員170名の青春ラプソディ』(学研プラス)で描いたように高校吹奏楽の枠を飛び越えたスーパーエンタテインメントバンドです。
最近でも、テレビ番組『世界一受けたい授業』で卒業公演の模様が放送されたり、星野源さんの《うちで踊ろう》を140人でテレ合奏した動画が話題になったりしています。
今年の大阪桐蔭高校吹奏楽部の卒業公演は、新型コロナウイルスの影響で無観客(3年生の保護者のみ)で3月12日、大阪・フェスティバルホールで行われました。
実は、そこにはテレビでは放送されなかった感動的なプログラムがありました。
ミュージカルの《レ・ミゼラブル》です。
絶品の《レミゼ》を多くの人に聴いてもらいたい!
オザワ部長が初めて大阪桐蔭の《レ・ミゼラブル》を聴いたのは、2013年に行われた第8回定期演奏会を収録したCDでした。
その美しいハーモニーと心を打つ歌声に深く感動させられ、ラジオ番組「Bravo Brass〜集まれ!ブラバンピープル〜」(インターネットラジオOTTAVA)でも何度も紹介してきています。
大阪桐蔭にとって《レ・ミゼラブル》は十八番のひとつ。
コンサートのときには名物「リクエストコーナー」(総監督の梅田隆司先生がバットでゴムボールを打ち、キャッチした観客が50曲の中から好きな曲をリクエストできる)のレパートリーにも入っていたことがありました。
さて、そんな《レ・ミゼラブル》が今年の卒業公演で披露されたのです。そして、いよいよその様子がYouTubeで公開されました。
全部員によるステージドリル風のパフォーマンス、キャストの歌や演技は、とても高校生のものとは思えません。奏者には椅子も譜面台もなく、すべてを暗譜で、振り付けをしながら演奏しています。
たとえ無観客であっても、全身全霊で演奏し、歌い、演技する部員たちの姿が心に迫ってきます。「これを客席で観たかった!」と思わずにはいられません。
特に、《オン・マイ・オウン》、《ワン・デイ・モア》、《民衆の歌》といったシェーンベルクの名曲は印象深く、感動の涙があふれてきてしまいました。
まさしく「ブラボー!」な圧巻のステージです。
動画はAct1とAct2という2部構成になっていますが、ぜひ両方観ていただきたいです。
吹奏楽界を力づける大阪桐蔭の活躍
大阪桐蔭は、昨年の関西吹奏楽コンクールで代表を逃し、全日本吹奏楽コンクールに出場することができませんでした。
きっとそのときは部員たちは悔しい思いをしたことでしょう。
しかし、この卒業公演の演奏、そして、《レ・ミゼラブル》を目にしたとき、全国大会に出られなかったことに大阪桐蔭の音楽は影響を受けておらず、それどころか、むしろ大きな進化と成長を遂げていたことがわかりました。
今、新型コロナウイルスで部活動ができなくなり、コンクールの開催も危ぶまれている状況であっても、大阪桐蔭の活動に多くの注目が集まっているのは、大阪桐蔭の持つ音楽の力が多くの人に勇気や希望を与えるからでしょう。
そして、部活動へのモチベーションが下がってしまいがちな全国の吹奏楽部員たちにとっては、「自分たちも頑張ろう!」「やっぱり吹奏楽は面白い!」「早く演奏がしたい!」といった気持ちにさせてくれる大きな刺激、励ましとなっていることでしょう。
これからも「最強!」な大阪桐蔭高校吹奏楽部に要注目です!