課題曲《ジェネシス》作曲者の美しいナンバーも

名物顧問・畠田貴生先生が率いる東海大学付属高輪台高校吹奏楽部は、全日本吹奏楽コンクール・全日本マーチングコンテスト・全日本アンサンブルコンテストという吹奏楽連盟主催の「三大大会」すべてで活躍する、東京が誇る名門バンドです。

高輪台は毎年その代の集大成となるアルバム(スパイラルシリーズ)を発表しているのですが、2021年度は3月16日に『スパイラル・アズール』(カフアレコード)をリリースしました。

ジャケットのデザインも素敵です

収録されているのは全10曲。

全日本吹奏楽コンクールでも演奏された自由曲《風の時代》(福島弘和)は委嘱作品ということもあり、高輪台の都会的で洗練されたサウンドや高度なテクニックが十全に生かされた仕上がり。

ほか、いま人気の作曲家、芳賀傑(たかし)の《水面に映るグラデーションの空》、クロード・ドビュッシーの名曲を真島俊夫が編曲した《喜びの島》、アルフレッド・リードの荘厳な1曲《アレルヤ! ラウダムス・テ》、ヨハン・デ・メイが映画『ロード・オブ・ザ・リング』の原作小説『指輪物語』(トールキン)の世界を音楽で描く《交響曲第1番「指輪物語」より》など、キラキラ輝く高輪サウンドを堪能しながら吹奏楽の名曲を味わえます。

収録曲は10曲。コロナ禍にこれだけの曲をしっかり仕上げた高輪台に拍手!

高輪台の「スパイラルシリーズ」は、今年度の課題曲III《ジェネシス》の作曲者である鈴木英史先生に委嘱した「スパイラル○○」という曲が必ず冒頭に入るのが習わしでした。

しかし、今回の《スパイラル・アズール》はアルバムのラスト。

かすかな悲哀を漂わせるこの曲は、最初から最後までゆったりとしたテンポで美しい旋律が続きます。派手さはありませんが、心打たれる名曲です。

よくポップスのアーティストのアルバムでも最後に静かなバラードが入る構成になっていることがありますが、それに近いかもしれません。

今回のこの曲順をどなたが考えられたのかはわかりませんが、しっとりした余韻が残る素晴らしい構成だと感じました。

高校吹奏楽界のトップバンドの実力がわかる1枚。ぜひお聴きください!

東海大学付属高輪台高等学校吹奏楽部『スパイラル・アズール』(カフアレコード)