昨年から起こっていた「時代の変化」

今年の全国大会(中学生の部/高等学校の部)の会場となる宇都宮市文化会館

2024年の暑い夏、各地で吹奏楽コンクールが行われており、すでに支部大会の出場校が決まった地域もあります。

今年は全日本吹奏楽コンクール・中学生の部/高等学校の部が宇都宮市文化会館(栃木県)で開催されるということもあり、時代の変化を感じる年になりそうです。

時代の変化といえば、昨年の全国大会の会場で「おや?」と思うことがありました。

例年であれば、会場で出場校の演奏を収録したCDが即売されていたのですが、昨年は名刺サイズのカードが売られているだけ。

「音源データカード」というもので、そこに印刷されたQRコードを読み取ることで、専用アプリに音源データをダウンロード→再生できるという仕組みになっていました。

昨年の全国大会での音源データカードの販売の様子

確かに、近年はCDプレイヤーがない家庭も多く、パソコンにもCDやDVDのドライブが内蔵されていないものも多くあります。

スマホはすでに老若男女を問わず多くの人が所持していますし、音楽を聴く手段としてもスマホがもっとも多くなってきているでしょう。

レコードやCDを聴いて育った世代としては、音源がCDからデータへ変わっていくことに少し寂しさも感じますが、現実的で、多くの人にメリットのある変化だと思います。

ライブ音源データ購入の利便性の高さに注目

もちろん、音質という面ではCDは音源データに勝っています。

しかし、音源データであれば、購入→ダウンロードしてすぐ自分のスマホで聴くことができるほか、その大会の会場に足を運ばなくてもサイト上で購入することもできます(全国大会では会場でカードが販売されていましたが、カードなしでオンラインのサイトでも購入可能)。

忙しくて会場に行かれない保護者、遠方のバンドを推している吹奏楽ファンなどにとってはむしろ朗報かもしれません。

ライブ音源の販売サイト「BRAVO Live」(https://b-live.shop/)を運営するブレーンに取材してみたところ、お目当ての団体の出演前でも事前購入することができ(予約のような形)、音源のダウンロードが可能になったらメールでお知らせが届くとのこと。

ブレーンでは各団体の出演後、最短30分程度でダウンロードできるようになるそうです(音源の販売開始タイミングは大会ごとに異なる)。

ブレーン株式会社はライブ音源データ販売サイト「BRAVO Live」を運営

再生するための専用アプリは「DMV(Dear Music Variation)アプリ」(App Store/Google Playで無料ダウンロード)。

スマートフォン・タブレットで利用可能です。

音源はダウンロードした端末1台のみでの再生に限られますが、個人情報の登録は不要で、機種変更にも対応。プレイリストを作ることもできます。

iPhoneのミュージックアプリなど、ほかのアプリでは再生できませんが、DMVアプリ自体を「コンクール音源のためのプレイリスト」と考えれば、さほど不便さはありません。むしろ、それ以外の利便性の高さのほうが上回っているでしょう。

こちらがDMVアプリのロゴ

今年は地区大会・県大会・支部大会もデータで

今年はこの音源データでの販売形式が以下のように広がりを見せているそうです。

●支部大会
東北・東関東(中学・高校A)・西関東・東京(※予定)・東海(大・職一※予定)・中国・四国

県大会・地区予選
千葉(県大会本選)・岡山・広島・山口・愛媛・徳島・鹿児島・北九州・福岡予選

自分に関わりのあるバンドの音源だけでなく、気になる学校・楽団の演奏や、来年を見据えてチェックしたい自由曲など、音源データで気軽に聴くことができます。

ダウンロードは1団体につき1,100円〜とのこと。

もしかしたら今年、「もう購入して利用している」という方もいることでしょう。

ブレーンによれば、全国大会ではやはり「何か形のあるものを持ち帰りたい」というニーズがあるため、今年も音源データカードの販売はあるとのことでした。

音源データのダウンロード購入という新しい時代のコンクール音源の楽しみ方。

きっと数年後にはこの方式が、多くの人の利用する「スタンダード」になっているのではないでしょうか。