メジャーリーガー・菊池雄星選手の文化プロジェクト

千葉県の吹奏楽の名門、習志野市立習志野高校吹奏楽部の実話を元にした小説『美爆音!ぼくらの青春シンフォニー 習志野高校吹奏楽部の仲間たち』(岩崎書店)。

このたび、2023年の第56回岩手読書感想文コンクール(中学校部門)の課題図書に選ばれました。

中学校部門では6作品のなかのひとつということで、ぜひ多くの中学生のみなさんにお読みいただき、感想文を書いていただけたら嬉しいです。

締切は9月4日なので、夏休みをめいっぱい使って書けますね。

この「岩手読書感想文コンクール」には、「菊池雄星文化プロジェクト」という冠がついています。

現在、アメリカのメジャーリーグ「トロント・ブルージェイズ」で活躍している岩手県出身の菊池雄星選手とコンクールが2020年からタイアップしており、この「プロジェクト」の冠がついているそうです。

一般的に有名人の冠がつくと、「注目度を高めるために名前だけ借りているのでは?」などと思ってしまいがちですが、実は菊池雄星選手は球界屈指の読書家なのだそうです。

このコンクールでも一次審査通過作にすべて目を通し、ご自身で特別賞を選定されているとか。

世界で活躍する岩手の星、菊地選手に感想文を読んでもらえるなんてワクワクしますよね(僕も読んでほしいです・笑)。

知事賞、県教育長賞などの特別賞、菊池雄星選手からの特別賞、学校単位の奨励賞「雄星文庫賞」など様々な賞が用意されているので、ぜひ挑戦してみてください。

コンクールの詳細は下記の公式サイトより。吹奏楽だけでなく、読書でもコンクールに力を注いでみてくださいね。

中学校部門の課題図書(公式サイトより)

オザワ部長流「読書感想文の書き方」とは?

「応募してみたいけど、読書感想文は苦手」「書き方がわからない」と思ってしまう人もいることでしょう。

正直なところ、僕も学生時代は読書感想文は苦手でした。そして、何度か書きましたが、一度も学校の代表に選ばれたことがありません。

文章というものも、全体に大きな流れ、構成があることを当時は知りませんでした。なので、本を読んで、思ったことを闇雲に書き、まとまりのないまま終わらせていたので、評価されなかったのでしょう。

作家となった現在のオザワ部長が考える読書感想文の基本的な書き方(構成)は以下のようなイメージです。

①その本の内容・あらすじをごく短く伝える(読んだことがない人への本の紹介)。【全体の15-25%程度】
②その本で自分が印象に残ったところ(強い感想が生まれたところ)を具体的に挙げ、自分の心がどう動いたのか、何を思い出したのかなどを書く。【全体の50-60%程度】
③その本によって自分に起こった変化/今後起こりそうな変化を書く。そして、最後を締めくくる。【全体の25%程度】

必ずしもこう書かなければいけないわけではないですが、ざっくりこんな感じで書くとまとまりやすいのではないかと思います。

岩手読書感想文コンクール(中学校部門)は「400字詰め原稿用紙4枚以内」が規定となっています。単純計算で1600字以内ということになります。

我々のような文筆家からすると、1600字というのは「やや短い記事」という印象になります。

ちなみに、いま僕が朝日新聞デジタルで連載している『My 吹部 Seasons』はおおよそ3000字ほど。3000字あると、それなりにディティールを入れ、展開もある文章が書けます。

学生のみなさんには1600字は「多い!」と思われるかもしれません。

先ほどの構成で考えると、まずだいたい200字(原稿用紙の半分)くらいで本の紹介をします。

その次ですが、自分の感想を書く部分がけっこう分量があるので、1つではなく、複数書くと良いと思います。複数のポイントを同じくらいのエネルギーで書くと平坦になってしまうので、いくつかあるうちのひとつを「私がいちばん印象に残ったのは……」と強調するのがおすすめです(前もっていくつ書くか、それぞれの内容、いちばん強調するところは決めておきましょう)。

あるいは、実際に自分が経験したことと本に書かれていることの共通点、「あのとき自分が感じたことは、こういうことだったんだ」といった本を通じた「思いの発見」などを書くのも効果的です。

さて、感想文というと、どうしてもありきたりな文章になってしまいがちです。ただし、「ありきたり」というのは「みんなが理解できて、わかりやすい」ということでもあります。「わかりやすい」というのは、文章においてはとても大切なことです。

なので、無理に「ありきたり」を避ける必要はありませんが、必ずどこか1文は「自分らしい、自分にしか書けない、自分だからこそ思いついた」ことを書きましょう。

全体をオリジナリティあふれるものにするのは大変ですが、たった1文だけなら一生懸命考えれば思いつけるものです(もちろん、1文以上でもかまいません)。

音楽にも共通することですが、文章で大切なのは「読む人を楽しませる、読む人の心を動かす」ことです。

自分の感想文をほかの人たち(同世代の学生だけでなく、大人も想定してみてください)が読んだらどう思うか、ちゃんと理解してもらえるか、どの部分で心を動かすことができるか、ということを「ほかの人になったつもりで」考えながら書きましょう。

一度書いたものを読み直したり、手直ししたりするのは本当に億劫です(プロでもそう感じていますので、億劫に思うのは正常な心の反応です・笑)。

それでも、一度書き終えたら、気持ちを切り替えて、「ほかの人が読んだときに、これはつまらなく感じそう」「ここは理解できないかも」「もっとこうしたほうがおもしろいと感じてもらえるかも」と考えながら、手直ししてみてください。

絶対に言えることは、「手直ししたほうが必ず良いものになる」ということです。面倒くさいと思う気持ちを乗り越えてやったことは、必ずあなたにとってプラスになります。

最後に。

読書感想文も、書いたあなたの「作品」です。

『美爆音!ぼくらの青春シンフォニー 習志野高校吹奏楽部の仲間たち』を読むことで、ぜひおもしろい「作品」を書き上げてくださいね。

そして、もっと読書や文章を書くことを好きになってもらえたら嬉しいです。




★オザワ部長最新作は感動の吹奏楽小説★
読書感想文、夏の読書にもオススメ!