北海道・関西・九州を代表する高校がバーチャル合同演奏

北海道の遠軽高校吹奏楽局、大阪の東海大学付属大阪仰星高校吹奏楽部、福岡県の精華女子高校吹奏楽部といえば、それぞれの地域を代表するバンドのひとつ。

遠軽と精華は全日本吹奏楽コンクールや全日本マーチングコンテストなどで活躍しており、東海大仰星は昨年ついに全日本吹奏楽コンクール初出場を果たしてセンセーションを巻き起こしました(詳細はオザワ部長著『新・吹部ノート 私たちの負けられない想い。』にて)。

実は、遠軽の高橋利明先生、東海大仰星の藤本佳宏先生、精華女子の櫻内教昭先生はここ数年交流が続いていたそうで、今回の企画は高橋先生の発案によるものだそうです。

お互いに遠方で、普段であればなかなか合同演奏が実現できない3つの学校。

新型コロナウイルスによる部活停止という苦しい状況下だったからこそ、3つの強豪校が1つになって夢のコラボレーションを果たすことができました。

演奏は《パプリカ》と《ヤングマン》!

演奏は学年ごとで、3年生は《パプリカ》、2年生は《ヤングマン》を演奏しています。

3年生の《パプリカ》。パプリカのイラストが可愛い!
2年生の《ヤングマン》。元気のいいダンスも見どころ!

演奏にあたっては、各校の部長が連絡を取り合って調整。100人を超える大人数で収録しています。

曲を決め、約3日間でそれぞれが録音、さらに3日ほどで東海大仰星の編集技術を持つ部員さんがまとめあげたそうです(きっと編集は恐ろしく大変だったはず…)。

動画の中では、演奏だけでなく、ダンスをする人、バトンを披露する人、メッセージカードを見せる人など様々。

通常であれば、人数の多さや距離の遠さがネックとなるところですが、楽譜とテンポを共有することで、素敵な「合奏」に仕上がりました。

まさに「音楽によって北海道と大阪と福岡がつながり合えた」ということが感じられる動画になっています。

また、高橋先生はトランペット、藤本先生はクラリネット、櫻内先生はトロンボーンで演奏に参加されています(特に櫻内先生の演奏は激レアです!)。

左から、精華女子・櫻内教昭先生、遠軽・高橋利明先生、東海大仰星・藤本佳宏先生。

そして、動画の最後には部員代表からの前向きなメッセージも収録されています。

こうして高校生から発信される言葉は、きっと全国の同世代の高校生や中学生にとって共感や励ましを与えるものになることでしょう。

遠軽高校吹奏楽局。北海道の公立高校では「吹奏楽局」という名称が多いです(対外的に「吹奏楽部」と呼ぶこともあるそうです)。
東海大学付属大阪仰星高校吹奏楽部はパプリカを持って。
精華女子高校吹奏楽部からは3人のメッセージが!

いずれの動画も3校の高校生たちの元気な演奏と明るい表情からパワーがもらえる動画となっています。

では、下記から夢のコラボレーション、《パプリカ》と《ヤングマン》をご覧ください!

先生たちの思いは…

こういったコラボ動画の制作について、遠軽高校の高橋先生にお聞きしたところ、このようなご回答をいただきました。

(他の2校とは)前から交流したいといっていたのですが、距離も遠いのでなかなかできず、今回はこのような事態になったことで動画で交流することができました。今は生徒たちに何かできることを、毎日模索しています。基本的にはコロナだからなにもできないと悲観的に考えるのではなく、今しかできないことを考えて、将来何があっても前向きに生きる人間力を身に付けてほしいです。
まだまだこれからですが、吹奏楽やってて良かったと思える学生生活を送ってほしいです。

また、東海大仰星の藤本先生は次のようにコメントしてくださいました。

テレワークで合同演奏することは、実際に合同演奏することの代わりにはなりませんが、こういった機会に3校が一緒に協力し合って1つのものをつくり上げることには意味があると思います。こうしている間にも生徒たちの高校生活が1秒1秒減っていくという事実はとても残念なことですし、「だったら、何かできることをやっていこう!」という思いからテレワーク合奏にも挑戦しました。
とにかく、何かをやることによって新たな発見がありますし、ネットで寄せられる反応も生徒たちにとって今までとは違う刺激になると思います。

そして、最後は精華女子の櫻内先生のコメントです。

以前より我々顧問同士はつながりがあり、「いつか一緒にできないかなぁ」と言っておりましたが、この様な形でご一緒することができました。
家で1人でいる生徒たちが何かつながりを実感してくれたら嬉しいですね。そして、「発信できるんだ」という自信を持ってくれたら良いと思います。

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大という状況にあっても、ポジティブな力でオンラインでの合同演奏をつくり上げた3校。

ぜひこれからも素敵な交流を続けつつ、さらにその輪が広がっていってくれることを願っています!