イヤホンのように耳に装着して使用

チューナーやメトロノーム、電子楽器、音楽アプリなどで有名な会社「コルグ」さんから、新たにグループメトロノーム「GM-1」が発売されました。

この「GM-1」の特徴は、なんといってもイヤホンのように耳に装着して使用できる点、そして、複数の本体を同期できる点です。

一般的に使用されている電子式のメトチュー(メトロノーム&チューナー)と違って、テンポを目で確認することはできませんが、移動しながらも耳でテンポがわかること、複数の奏者が離れたところでも同じテンポを共有できるのがポイントです。

実は、以前にもコルグさんから同様のメトロノームが発売されていたのですが、今回機能面などでさらに便利にアップデートされたということで、さっそく試用させていただきました!

わずか9グラムの小型ボディ

まずは、製品を開封してみました。

「GM-1」は複数台を連携して使用することを前提としているため、2個セット(GM-1 2PCS)もしくは4個セット(GM-1 4PCS)での販売となっています。

今回は2個セットのほうを開けてみます。

パッケージはこのようになっています。

そして、開封してみると、本体はこのような形で出てきます。

よく皆さんが使われているBluetoothのイヤホンに比べると大きめですが、非常に軽いです。

大きさは長さ44ミリ×幅22ミリ×奥行き22ミリ、重さはわずか9グラムとなっています。

実際に耳に装着してみたところ、カナル型のイヤーピースとクリップでしっかりと固定され、耳が垂れ下がるような感じもまったくありません。

また、耳がクリップに挟まれて痛いとか、違和感のようなものもなく、ごく自然に装着できました。

ちなみに、使用するときは片耳に1つつけます。片耳でメトロノームの音を聴き、もう片耳は周囲の音を聴きます。

間違えてイヤホンのように両耳につけないようにしてくださいね。

イヤーピースはS・M・Lの3種類の大きさのものが入っていました。耳の穴の大きい人も小さい人もいずれかがフィットすると思いますし、クリップでも固定するのでズレや落下の心配はないと思います。

テンポ、ビート(拍子)、リズムなどを設定可能

では、機能と使い方を見ていきましょう。

ボディの裏側には小さな液晶画面とボタンが2つあります。また、耳に装着する部分は向きを変更できるようになっており、右耳でも左耳でも装着可能です。

写真では少し見えにくいかもしれませんが、ボディの上下にジョグダイヤルがあります(連動しているため、上を動かすと下も動きます)。これを使ってテンポなどを変えます。

下側のボタンを押すと電源オン!

最初に表示されるのがテンポです。写真では「♩=120」で、すでにイヤピース内の小型スピーカー部分からピッピッピッ……と音が鳴り始めます。

ジョグダイヤルを右へ傾けるとテンポが上がり、左へ傾けると下がります。

設定できるテンポの幅は「♩=30〜252」です。

下側のボタンを1回押すと、モードが切り替わり、今度はビート(拍子)を設定できるようになります。液晶左側の「b」は「ビート(beat)」を表しています。

これもジョグダイヤルを動かして変更します。

設定できるのは0拍子から9拍子まで

0拍子はアクセントがなく(ポッポッポッ……)、1拍子はすべてにアクセント(ピッピッピッ……)。2拍子以下は1拍目にアクセントが入ります(ピッポッポッ……)。

下の写真は2拍子なので「ピッポッピッポッ……」と鳴ります。

下側のボタンをもう1回押すとモードが切り替わり、今度はリズムを設定できるようになります。液晶画面の「r」は「リズム(rhythm)」を表しています。

ジョグダイヤルを動かして設定できるリズムは、「4分音符、2連符、3連符、3連符中抜き、3連符後抜き、4連符、4連符中抜き、4連符後抜き」と実に多彩。

下の写真は「r3」で「3連符」を意味しています。

さらに、下側のボタンを押すことで音量(レベル)と音の高さ(ピッチ)を変えることができます。

音量は液晶に「L」、音の高さは「P」が表示されます。

合体! アーンド、複数ボディを同期!

さて、この「GM-1」の最大のポイントと言えるのが、複数のボディを同期して同じタイミングで鳴らすことができる、という点です。

たとえるなら、いままでは指揮者の位置で動かしていた大きなメトロノームや、リーダーがウッドブロックを叩いて鳴らしていた音が、それぞれの奏者の耳の中で鳴る、というイメージです。

ただのイヤホン型メトロノームだと各人がバラバラのタイミングで鳴るだけですが、「GM-1」は完全に同一のタイミングで鳴る(もちろん、ビートやリズムも同期されます)ところがミソです。

同期の仕方ですが、ボディの頭とお尻に接続用のコネクタがあり、これを使って同期したいボディを連結します(つい列車の連結や合体ロボを思い出してしまいます・笑)。

連結が終わったら、「親」になる先頭のボディの上側のボタン(「SYNC」と書いてあります)を押すと、あら不思議! 一瞬ですべてのボディが同期(シンクロ)され、同じ鳴り方をするようになります。

「GM-1」を4つつなげてみた状態です。ボディの前後に小さな金属の接続部分があります
必死に前のボディにしがみついているような姿がちょっとプリティです(笑)

同様にして50個、80個……と同期していくことができます。大規模なマーチングバンドでも使用できますね。

「そんなにいっぱいつなげるのは大変じゃないの?」と思う方もいらっしゃるでしょう。

「GM-1」では、一度同期したボディを「親」にして、他のボディを同期することができます。

たとえば、マーチングリーダーの持つ「親」の「GM-1」に各パートのパートリーダーのボディを同期。そして、パートリーダーが今度は「親」になって自分のパートのメンバーを同期。こうすると、全メンバーが同じ設定で同期されるわけです。

また、別のテンポに変えたいときは、それぞれのボディで同じテンポに変更すれば(たとえば「♩=120」から「♩=60」へ全員が変更)、変更したテンポでもまったく同じタイミングでメトロノームが鳴ります。

ボタンが2つとジョグダイヤルしかついていないことからもわかるように、使用方法は非常にシンプル。誰でも簡単に使えるようになるでしょう。

マーチング経験者の吹奏楽芸人の感想は?

ということで、とある方にもこの「GM-1」の感想を聞いてみました。

「吹奏楽界の爆笑王」こと、吹奏楽芸人のさんしろう吹奏楽部さんです。

吹奏楽ネタでお笑いライブをしたり、Twitterで「吹奏楽部あるある」を毎日ツイートしたりしていることで知られているさんしろう吹奏楽部さんですが、実は中学時代に全日本マーチングコンテストでゴールド金賞を受賞したことがあります。

また、マーチングのインストラクターの資格も所持しています。

そんなマーチングが大好きで、経験も豊富なさんしろう吹奏楽部さんは、「GM-1」にどんな印象を持たれたのでしょうか?

【さんしろう吹奏楽部さん】

これ、メチャクチャいいです! 
思っていたよりもしっかり音が聞こえるので、マーチングしながら使うには最適ですね。
体育館で練習するときに、ウッドブロックの音が反響してしまってよく聞こえない、演奏・演技がズレる、というのが「あるある」なんですけど、このメトロノームを使えばピッタリ合うと思います。
ホンマに便利です!

「GM-1」の利用シーンは?

ということで、グループメトロノーム「GM-1」の使い勝手を見てきました。

振り子式や電子式のメトロノームにはそれぞれの良さがありますが、この「GM-1」は聴覚のみに特化し、また、同期と移動しながら使用できるようにしたということで、吹奏楽やマーチングの練習の可能性を大きく広げるものだと思います。

さんしろう吹奏楽部さんのコメントにもありましたが、マーチングにおいては、たとえば前方で指導者やドラムメジャーがウッドブロックを叩いたとしても、演奏中は聞こえづらかったり、後方の奏者だと(音の到達時間の関係で)微妙に遅れて聞こえたり、といった難しさがありました。

「GM-1」はそういった問題を解消できるツールです。

また、コロナ禍を迎えてからは、座奏中心のバンドであっても屋外で練習したり、2メートルほどディスタンスをとって練習したりすることも増えてきていると思います。その際もメトロノームが聞こえづらく、みんなで合わせにくい「メトロノーム問題」があると複数の学校で聞いていましたが、「GM-1」を活用することでこれもクリアできると思います。

これまでも吹奏楽界はメトチューやハーモニーディレクター、ICレコーダーなど様々な新しいテクノロジーを導入することでレベルアップしてきました。

「自分たちのバンドの力をさらにアップさせることができる」と感じたツール、テクノロジーはどんどん積極的に使っていっていただきたいです。

「GM-1」ももしかしたら今後マーチングなどで定番化するツールになるかもしれない、と感じました。

なお、「GM-1」の試用動画もありますので、ぜひご覧ください!


【オザワ部長のチャンネル】

【KORG公式 GM-1 取説動画】

【KORG GM-1 公式サイト】